2016年6月29日水曜日

2016五島長崎国際トライアスロン大会 ~FUJIサポートライダー 安曇 樹香選手 レースレポート~


2009年までアイアンマン・ジャパンとして開催され、2010年の口蹄疫による大会中止が余儀なくされた長崎県五島列島でのトライアスロン大会。2011年から距離はそのままに五島長崎国際トライアスロン(バラモンキング)として復活。国内ロングの大会として現在は、ロングディスタンスのAタイプ、ミドルディスタンスのBタイプ、リレーにエリート部門とカテゴリーも充実しており、暖かく迎えてくれる地元住民の歓迎もあり人気の大会となっています。
そのレースにFUJIサポートライダーとして、昨年の男子Aタイプ優勝の秋葉 憲幸選手に続き、今年は女子Aタイプで安曇 樹香選手が優勝しました。

バイク走行中にアクシデントに見舞われながらもアップダウンの多い難コースをNORCOM STRAIGHT1.1で走りきり、バイクラップの短縮につながったことは、このバイクの良さをうまく引き出せたこと、そして次のランパートでは男女合わせて3位のは走りは、総合で2位の女子選手と1時間近い大差をつけての圧勝へ繋がりました。

どのようにして、優勝のゴールへと導かれたのか、レースレポートをご紹介します。


2016五島長崎国際トライアスロン大会(バラモンキング)レースレポート


【開催日】2016619日(日)
【場所】長崎県五島列島福江
【距離】Swim 3.8Km / Bike 180.2Km / Run 42.2Km (Total 226.2Km)
  【バイク】 2016年FUJI NORCOM STRAIGHT1.1 CARBON/BLUE
総合記録】10:32:31(女子総合1位)

 
Swim1:06:08

スイムは富江港をスタートし右回りに湾内を2周するコースで、風や波の影響が少ないためとても泳ぎやすく感じた。水温も21度ほどと、それほど冷たくはなかった。
スタートはフローティングから。スタートまでの数分間、水に浮かびながら気持ちを落ち着かせた。だんだんと、いよいよ始まる!というわくわくした気持ちが強くなっていった。
Aタイプの選手が一斉にスタートした。人数が多く、初めは他の選手との接触があり、自分のペースで泳ぐことが難しかった。私にとって、スイムは苦手なパートである。焦らず、とにかく自分の体の動きに意識を集中させた。次第に流れができ、落ち着いて泳ぐことができるようになった。
1周回後に一度スロープを上がり、周回チェックを受けてから2周回目へ。1周回目はブイを見失い、少しロスしてしまうところもあったが、2周回目は安定したペースとコース取りで泳ぎ切ることができた。

 
Bike6:08:57


バイクはスイム会場のある富江町内を周り、約56Kmの周回コースを2周回する。そして、フィニッシュ会場のある福江市街を目指す。フラットな道が少なく、小刻みなアップダウンを繰り返すコースで、累積標高は1700mほどであった。レース前夜はかなりの暴風雨で、当日も悪天候が予想された。そのため明け方には雨も止み、天気が回復したことはとても幸運だった。
目標よりも速くスイムアップできたので気持ちに余裕をもってバイクパートへ入ることができた。富江町内から周回ポイントである二本楠交差点までの30Kmほどは登り基調だったが、下りの勢いをうまく使い、ペースを落とさずに走ることができた。今までのレースでは前半に足を使いすぎてしまい、後半失速することが多かった。その反省から、今回は序盤からあまり無理せず、ペースを一定に保つことを心がけた。
周回コースに入ったころ、予想外のトラブルが2つ起こった。一つは右脚のハムストリング。少し痙攣していることに気づいた。このままだとランまで足がもたないかもしれない、と不安になったが、ポジションを変えたりストレッチしたりして何とか体をほぐした。
もう一つはDHバー。バイクを組み立てるときにしっかり留めなかったのだろうか。左側のねじが緩く、振動ですぐに下がってしまう。どうすることもできず、とにかく力をかけた瞬間にバーが下がり、態勢を崩して落車したりしないように気をつけた。そのおかげか、最後まで集中を途切らせずに走ることができたのはよかった。
周回コースを少し行くと折り返しがある。他の選手とすれ違うことのできるポイントで、先を行く選手のスピードを肌で感じ、自分も気合を入れ直すことができた。海岸沿いを進むと、高浜ビーチなど五島ならでは景色が現れる。繰り返しやってくる登りは体に堪えたが、壮大な景色に気持ちをリフレッシュすることができた。
2周回目に入るとさすがに登りがきつく感じられるようになった。登りは軽いギアで強く踏みすぎないようにし、下りで十分足を休めた。登りと平地でポジションを変えたり、体のストレッチをしたりして、疲労を貯めないように心がけた。湿度が非常に高く、思った以上に発汗していると思ったので、ボトルの水を体にかけたりこまめに給水したりした。空腹感はなかったが、この後のランのことも考え、ボトルに入れたハチミツ500gとエナジーバーなどを少し補給した。
周回コースを抜けるとあともう少しだという思いが強くなり、気持ちが前向きになった。ランのことを考えるとわくわくした。ラスト20Kmは下り基調となっており、ランに向けて足を休めることができたのはとてもありがたかった。
バイクは目標の6時間を少し上回ってしまったが、全体を通してほぼ一定のペースを保つことができたのは今回の大きな収穫である。NORCOM STRAIGHT 1.1の安定感でエアロポジションを楽に維持することができたのは大きい。今までよりもバイクラップが短縮し、良い流れでランパートをスタートすることができた。

 
Run3:17:26


ランは福江港から堂崎天主堂までを2往復する。だらだらと続く登りがいくつかあるタフなコースであったが、選手同士が対面するため、すれ違う選手と励まし合いながら走ることができた。沿道の熱い声援も大きな力になった。
ランは大好きなパートである。バイクを降り、地面に足をつけると、気持ちが一気に前向きになった。先のことは考えず、気持ちの赴くままにリラックスして走った。初めの10Km42分ほど。登りはあまり気にならなかった。でも、少し飛ばしすぎてしまったかもしれない。折り返してからの10Kmは登りがきつく感じられた。21Kmのラップは1時間33分くらい。時計でタイムを確認し、このペースで行けば目標の3時間10分を切れる!と自分自身を鼓舞した。良いペースで走る選手がいて、5Kmから25Kmくらいまで一緒に走った。自分一人では苦しい場面も声を掛け合いながら走れたので本当に良かった。
1往復したところで体がずしりと重くなった。もう一度あの登り坂を走るのかと思うと少し気持ちが滅入った。苦しくても足を止めないこと、そして走りのリズムを変えないことを意識しとにかく前へ進んだ。熱中症が心配で水分をたくさん取っていたせいか、途中で腹痛に見舞われた。このまま走り続けるか悩んだ末、トイレへ。少しタイムロスしてしまったのは悔やまれるが、その分、思い切り走ろう!と、気持ちを切り替え走った。補給食はほとんど取らずに走ることができた。とても蒸し暑かったので、エイドでは必ず水を頭からかけてもらい、氷を背中のポケットに入れて走った。約1.5Kmごとに設置されているエイドがとてもありがたかった。
30Kmを過ぎてから登りがさらにきつく感じられた。1Km5分近くかかるところがあったのは悔しい。残り7Kmというところ、一つ前の順位の選手に追いついた。「これ、どのくらいのペースですか?」「3時間15分くらいです。」「速いですね!行けるところまでついていってもいいですか?」と言葉を交わし、一緒に走ることになった。ラストのつらく、集中が途切れがちな場面で、またしても一緒に走る選手が隣にいて本当に助かった。自分も負けられないと、もう一度気持ちを立て直し走ることができた。
ラスト2Km。もうすぐだ!と思うと気持ちが軽くなり、ペースも上がった。応援が最後に背中を押してくれた。


レースを経験するたびに、ロングディスタンス・トライアスロンの面白さや楽しさを感じることができる。女子総合優勝をすることができたのは本当にうれしいが、自分自身のパフォーマンスにはまだまだ課題が残っている。今後もしっかりトレーニングをこなし、次のレースへ臨む準備をしていきたい。
応援して頂いた方、サポートしてくださった方、本当にありがとうございました!

                                   

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